年末年始に読んだ本③ 「女、一生の働き方ー貧乏ばあさん(BB)から働くハッピーばあさん(HB)へ」

女一生の働き方―貧乏ばあさん(BB)から働くハッピーばあさん(HB)へ

樋口 恵子 / 海竜社

樋口先生とは個人的な面識はありませんが、私が所属するNGO「国際女性の地位協会」(JAIWR)の会員であられることもあり、これまで会の集まりや主催する講演でなんどかお会いしたり(2007年秋のシンポジウムでは当時育休中だったよーへーさんを紹介し、男性の育児休業についてお話する機会もありました)、先生の講演を聴く機会があり、その度に元気を頂いてきました。

この著書は、あとがきにあるとおり、「今、日本で「おばあさん」と呼ばれる世代の女性へ、そしてやがて「おばあさん」になる現役世代の女性へ、現状のきびしさをしっかりと見つめながら、「おばあさん」になり「おばあさん」を生きることが楽しくなるような本」です。

以前から樋口先生は「高齢者問題は女性問題」あるいは「貧困問題は女性問題」とたびたび主張されてきましたが、本書でも「かつてBBと言えばべべと発音し、フランスの悩殺女優ブリジット・バルドーの代名詞であった。今のBBは貧乏ばあさんと呼んで、日本の特産品と言ってよい」(p43)と、様々な統計的データを元に、現行の社会保障制度、税制度の説明を交え、日本の高齢女性の厳しい経済状況、女性が貧乏になるしくみ、を解説、紹介されています。

 女性の就労は途切れ途切れのコマ切れで、多くの場合低賃金で不安定であり、老後の年金をはじめとする社会保障につながらない。つながっても低い。被用者年金では基本的に無職・低所得の妻は夫の傘の下に入るよう設計され、そこに誘導されるよう優遇措置が講じられてきた。
 (中略)
 生涯にわたる経済的不利益の総決算期が老後である。夫の収入を中心として暮らす時期は、社会保険料が免責される範囲で働くほうがトクでありラクでもあった。だが、年金は国民年金に比べて被用者年金の額が大きい。家族のために子育てや介護を担ってきた女性、女だからと低賃金に甘んじてきた女性は、老後にしっかりツケを回される。「貧乏」という名のツケである。(
pp41-43)

本書が紹介する2007年の総務省の調査によると、高齢者の就労動機は、男性が「健康を維持したい」が1位であるのに対し、女性は「収入を得る必要が生じた」が1位になっているそうです。

私自身、働いている年数は長くなりましたが、そのうち厚生年金に加入していたのは7年ほど。今後の就労がどういう形になっていくかはわかりませんが、少なくとも、老後、自分の年金だけではとうてい暮らしていけないと思います。「貧乏ばあさん」、人ごとではありません。

現実は厳しいですが、その一方で「どっこい、ばあさんは貧乏にめげないい、へこたれない」と、全国津々浦々の元気な「HB(働くばあさん)」の実情レポートは、本当に元気をもらえます。60歳を過ぎてから新しい仕事に就いたり、ずっと好きな仕事をこつこつと続けていたり、90を超えてなお元気に働く女性の事例も。

最終章では「貧乏ばあさん防止(BBB)計画」として「人生100年時代の到来を前に、人生後半の就労システムを確立する」ために、国や自治体・行政に望むこと、企業・組織に望むこと、それぞれ具体的な提言、「そして、何よりも女性自身、あなた自身に」という激励メッセージが掲げられています。長くなりますが、そのうち胸に響いた二つを引用させていただきます。

辞めない。辞めてもあきらめない。職業社会にとって、女性はまだ歴史の浅い新参者。女性が働きにくいのはあたりまえ。これは人生50年時代の産物だ。人生100年時代を迎え、男たちもこのシステムでは息苦しさが増してきた。今がチャンス。自分を生かし、他者を支える、働くことを通した人生を打ち立てよう。

ひとりで考える時間を持とう。他者の意見に耳を傾け、生の情報を集めつつ、考える力を養おう。ひとりの力量がゼロでは何も始まらない。一人ひとりが力量をつけてこそ、職場で地域で時代をつくる力になる
。(p232)

私自身は、常々、何らかのかたちで一生、死ぬまで働きたいと思っていますが、「働く」「働かない」の意思決定は個人の価値観によるものであり、あるいはそれぞれの家庭の状況により、時々の状況により、異なることは当然です。

ですから、「みんな働け!」というのではなく、樋口先生も書かれているとおり、まずは「女性の非就労者のなかから、できるだけ「不本意無職」をなくす」ことが必要であり、そのための就労システムの確立が当面の課題となると考えます。

本書を読んで、きちんと現実を見据えた上で、まずは身体を健康に保ち、常に学び続けることで人から必要とされる存在でありたい、さらには、誰もがより生きやすい社会に変えていく力になりたい、と誓いを新たにしました。
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by osorae | 2011-01-05 05:30 | 私の読書日記 | Trackback | Comments(0)

私(りか)と夫よーへーさん、娘のそらちん&おはるの四人家族。そのどうってことのない日々のあれこれ。


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